この世界の片隅にを見るこの現代の片隅に

見てきた。

テアトル新宿の平日13時の回を見に行ったら、満席どころか立ち見客までいたが、その大半が戦前生まれくらいの年齢だった。終盤、戦争が悲惨になっていくにつれ、噛み殺したような嗚咽がそこかしこから聞こえてきて、まるで地獄だった。

 

映画は、ただただリアルに第二次大戦の中の日常を描いていた。ある日いきなり見初めたからと申し出られれば嫁いでいって甲斐甲斐しく働くし、突然軍務めの家族が帰ってこないとしてもそれをどこか受け入れるような、現代から見れば非日常としか言いようのない死生観。これから死ぬであろう兵隊が訪ねてきたら、嫁を一晩貸す。そんな普通じゃない状態を普通に怒るようなすず。

 

あまりに現代からは想像もできない遠くに思えた。右腕を失くしたことでついてきた孤児を拾うのも、ついてきたから育てるくらいの、なんだろう、温かいとか優しいとも違う、さもそれが当然、いや当然じゃないんだが、それを受け入れるような空気感。

 

この現代と比べてみると、もはやファンタジーだ。現代か、あの時代のどちらかが。

 

終戦したから、灯火管制がなくなって街に明かりがつく。

 

進駐軍の残飯ゴミを煮た雑炊は、味が濃くてうまい。

 

全てが日常で、リアルで、当時を生きたかのような声で。綺麗事も誇張もなく、見ていて感動したとか、面白かったとか、そういうものではない。ただ、多分良かったんだと思う。映画を見ていた時間は無駄ではなかったと思う。

 

ひもじいご飯の話ばかりだったので、帰りに現代らしくいきなりステーキをがっつり食べた。

 

全体主義、民主主義、資本主義、次の主義はなんだろうか。