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鬼滅の刃は”才能”と”怒り”の物語だという話

鬼滅の刃読んでますか?読んでない人はまず読みましょう

 

[まとめ買い] 鬼滅の刃

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鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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吾峠呼世晴短編集 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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 前身の読み切りとかネームが読めるから下2つも読め

 

 

鬼滅の刃は、敵を人から落ちた鬼にすることで物語性がとても強くなっていると思う。ザーボンさんとドドリアさんが何故あんなに凶悪になったのかとか、なんでドクター・ゲロがレッドリボン軍が滅んだあとも頑張っていたのかとかはわからない。でも、アカザがなんで勧誘に必死なのかとか、ギュウタロウがどうして鬼になり人を殺すほど落ちたのか、というのは丁寧に丁寧に描かれている。

 

そういう、生き様の描写こそが物語のキモだとなるのが、七巻くらいからなので、まずは七巻まで買って読め。

 

その上で、鬼滅の刃は才能を持たざる恵まれなかったものと、才能を持つ恵まれたものの物語だと思う。

 

才能を持たざる恵まれなかったものとは、鬼だ。最も才能がないキャラクターは、鬼舞辻無惨だ。ぽっと与えられた最強の力を全く乗りこなせておらず、ただ自分の過ちを責任を他人になすりつけ自己を正当化する。最もおぞましく、しかしか弱く儚いラスボスだ。チートの力をいきなりもらったなろう主人公みたいなもんだ。

 

あの世界で才能に恵まれたのは、柱や炭治郎達だ。炭治郎達は才能の具体的なものとして、「直感」を持っている。炭治郎は匂いでなんとなくわかる。善逸は音でなんとなくわかる。伊之助は肌でなんとなく感じる。カナヲは見ればなんとなくわかる。

 

作中ではっきりと明言されてるし、それとなく描写もされてるが、鬼に抗えるほど強い鬼殺隊は柱か今回の炭治郎達くらいで、あとのメンバーはほとんどが死にまくっている。

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主人公である炭治郎は絶対に折れず挫けず頑張る。常人ではなく超人だ。

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おそらく作中最強であり、究極の才能を持っていた初代日の剣士は、しかしこう言っている。所詮自分はこの瞬間の最強に過ぎず、人類が常に排出し続けてきた才能のあるものの一人にすぎず、それは今後も生まれ続けるのだと。「同じ時代に自分に比肩するものが全くいないほど強く、誰にも真似できない才能」を持つが故にすべてが何となく理解できたのだろう。

 

結局、才能がありそうでスカウトされたアカザも上限壱も才能はなく、「透明な世界」、直感が極まってすべてが何となく完全に把握できる世界には入門できなかった。アカザは「透明な世界が存在することは予想できる」上限壱は「骨と肉が見える」までは行けたみたいだが。

 

 

つくづく鬼側は才能がないものとして、鬼殺隊側(の強者)は才能に恵まれたものとして描かれていると思う。そして無惨は、才能を眠らせていたものの虎の尾を、竜の逆鱗を踏みにじったのだ。

 

そう、彼ら鬼殺隊が戦う原点は怒りだ。鬼側は理不尽や絶望から人を捨てチート(鬼術)に逃げたので、きちんとした怒りを持つことができない。鬼が出来るのは怒っている鬼殺隊を笑うか逆ギレするかだ。世の中が俺に辛く当たるのが悪いと癇癪をこじらせることしかできない。誰かに対して正々堂々と怒るという、最も純粋で生存のための力は、逃げた鬼にはない。鬼殺隊は全員が怒っている。そして集ったものの中には怒りで才能を発現したものがいる。

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だから鬼滅の刃はラブでコメることもない。だって彼らは怒っているんだ。鬼に。怒りは最も純粋で最も力がでる感情だ。才能のある彼らが本気で怒ったら、そりゃあ鬼なんて理不尽なものでも討ち滅してしまうだろう。

 

鬼滅の刃は、才能が無くて鬼に逃げた奴らに踏みにじられた才能ある鬼殺隊が、怒りで鬼を滅殺する話だと思う。

 

 さて、では、読者が感情移入できるのはどちらだろうか?