空白雑記

暇つぶし

この世界の片隅にドラマ版とルサンチマン2.0と君の名はとネットの匿名性

ブログのアクセス数が30倍になっててびびったが、

kuuhaku2.hatenablog.com

この世界の片隅にで検索してこの記事に来てる人が多いようだ。

 

この世界の片隅にのドラマ版を2話まで見た。1話の時点でほぼ確信していたが、2話まで見たので改めて言おう。

 

この世界の片隅にのドラマ版は糞だ。

 

原作を絶妙に、わかった気になって弄りまわし、劣化させたものだ。肝となるシーンを駄目にし、カットし、すずの空想を人さらいや人買いの現実に落とし、あまつさえすずの日常をラブコメに仕立て上げた。実家に帰省した際の、陸軍の機密と海軍の機密という冗談については全カット。これこそが戦時中の空気であろうに。原作ではきっぷを買い忘れてしまうところを、周作との出会いをフラッシュバックして、書き置きだけ残して感動的な曲とともに泣きながら走るシーンは、見ていて涙を流しそうになった。糞すぎて。

 

何度も見る気はないので、細かいところまで突っ込む気はないが、原作やアニメ映画の素晴らしさがわかるような、わかるやつにはこのドラマ版がクソなことはわかるだろう。

 

わかるやつ、というのは少数派だ。例えば有名でないモネの真作と、その辺の美大生がちょろっと書いた絵の、どちらが優れているかを見極められる人間というのは、わかるやつであり、全体から見ればごく少数であろう。

 

だから、この世界の片隅にの素晴らしさがわかるやつは少ない。君の名はの素晴らしさ(俺は素晴らしいと認めるわけではない)がわかると言うやつのほうが圧倒的に多い。このことから推測すると、この世界の片隅にドラマ版は、君の名はを素晴らしいというやつ向けに作られているのではないか。実際、ツイッターでランダムに意見を見ると、糞だと言ってるのは少数派で、称賛してるほうが多いのだから。

 

俺は一つ前の記事で、ルサンチマン2.0がこのまま進化した場合、人類文化は衰退すると書いたが、それはつまりこういうことだ。君の名はや、この世界の片隅にのドラマ版のようなものしか作れなくなるということだ。

 

さて、ルサンチマン2.0という恐ろしい怪獣を眠らせる冷却液については、一つだけ心当たりがある。それはネットの実名化だ。今は、例えば名誉毀損罪というものがあるのに、ネット上で匿名でやられたら、費用と時間をかけて発信者を開示し、その上で訴訟に及ばないといけない。発信者開示を行うまで、100個の匿名書き込みが、実態は何人のものかがわからない。

 

ルサンチマン2.0の構成物質は、「匿名性」と「攻撃性」と「負の感情」からなる。どれか一つでも失えばルサンチマン2.0たり得ない。匿名性という牙を封じられればルサンチマン2.0は凍結し眠りにつくことだろう。

 

ただ、これはネットが最低でも今より息苦しくなるし、ひょっとしたらルサンチマン2.0の代わりに新しいモンスターが生まれる恐れもある。また、何かあれば実名制をも乗り越えたルサンチマン3.0として、個体分裂を始めるかもしれない。

 

ルサンチマン2.0を消滅せしめるオキシジェン・デストロイヤーの開発が待たれる。