空白雑記

暇つぶし

格差社会と万引き家族とパラサイトについて

saize-lw.hatenablog.com

 

この論考がすごく良かったので俺も格差社会と万引き家族とパラサイトについて、「格差社会は逆転できるのか、格差社会はどう描けば(捉えれば)いいのか」について考える。

 

kuuhaku2.hatenablog.com

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格差社会は逆転(上位に移動)できるのか

俺は出来ると思う。ただし、それが出来るのは万引き家族の長男であり、パラサイトの長男ではない。

 

俺自身が望む望まないに関係なく受験戦争に参加した過去があるから、そういう「教育」さえも与えられない本当の底辺が這い上がれるのか、については自分を基準にしては語れない。最低限の教育が受けられないと人間は知性を持てないので上に上がれないと、ギャングースのような小学校にも通ってない漢字も読めないような例を出されると、そうかもしれないとは思ってしまう。

 

俺は人間は「生まれたときから決まってる性能」と「環境」との2つで決まると思ってる。その「環境」はたしかに格差で決まるとして、「生まれた時の性能」は、親に関係なくランダムガチャで付与されるものだと思う(俺は別に優生思想を支持しない)ので、小学校にも通えないようなもの凄い底辺に生まれても、生まれ持った能力さえ高ければ、1段か2段くらいは上がれるんじゃないかと思う。

 

少なくとも、「資本主義」における格差、つまり年収の層に限っていえば、環境や教育に関係なく上に行くチャンスはあると思うからだ。もちろん、誰もが最上位までいけるわけではない。でも、1段か2段上がれたら、それは上がれない格差社会ではないと思う。血統貴族主義のようなどうしようもないものであればたしかに上にいけないのだろう。

上位に移れる個体とは

パラサイトの家族は、性根が半地下に染まってグズグズに腐っていた、と描かれてるように思った。万引き家族の長男は、万引き家族の父親と血がつながっていないのもあろうが、泥の中にあって咲いた花のように気高い誇りを見せた。優秀そうにも描かれているし、彼は逆転しそうだ。時々、生まれ能力ガチャでSSRを引いた個体が生まれるが、それが彼だと思う。

 

俺は、サバクトビバッタの「環境が過酷になると凶暴化して蝗害にまで発達する」という能力に畏怖する。同じように、シートン昆虫記のジガバチ(芋虫を麻酔針で麻痺させて幼虫の苗床にするやつ)にも、恐ろしい種がいたもんだと畏怖する。ハキリアリにもびっくりするし、ニホンミツバチの蜂球にもびっくりする。

 

これらは、多分そういう性質を持った異常個体が発生し、虫は人間と違って異常に繁殖するから、それが種の王となり塗り替えた事例だと思う。多分、凶暴化しないサバクトビバッタや、芋虫を麻酔させるなんてできないジガバチもいたのだろうが、それらは弱くて淘汰され、今は「異常個体の始祖」の末裔達が種として残ってるんだと思う。

 

そういう意味ではパラサイトの描写は、「完全に滅び行く性質の種」として底辺を描いていたから救いがない。万引き家族の長男は「突然変異して生存適応する個体」が描かれていたから希望がある。(万引き家族の長男が優れた血統の生まれという可能性も考えたが、パチンコ屋で放置されてたくらいだから底辺だとは思う)

 

万引き家族を見たら「長男みたいに生きないと」と思えばいいし、パラサイトをみたら「こうはならないようにしないと」と思えばいい。