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IT革命と幸福論2

note.mu

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これこそ、IT革命による幸福論の、「IT革命によって不幸になった一般人」の実例だと思った。

 

俺は、IT革命以後の人類は、「IT革命の洗礼を受けた人類」は、人類史上最も不幸な状態にあると思っている。

 

人類が最も幸福だったのは、神のペットとして、知恵を持たず楽園で飼われて居たときだ。人類は知恵を得た時点で、楽園(常に幸福な状態)から追放された。知恵があり、過去と現在と未来を認識でき、欲を持った人類は、常に幸福な状態になることは出来ない。

 

第二の知恵の実はインターネットだ。人類が得られる情報の桁が数十桁あがってしまった。そのインターネットも、アップルが発明したスマートフォンによって、人類全体に広がってしまった。そんなアップルのロゴが、かじられた林檎というのが恐ろしい。インターネットだけならまだ一定よりも上の人間にしか触れられなかったのに、スマートフォンでついに、この2020年近くになって、全人類、末端のサルのような人類にまでインターネットが広がってしまったのだ。だから、最近になってついに、本物の、日本語すらわからないようなキチガイが目につくようになった。

 

その点でいうと、冒頭の一般人オタク女性は、早めにインターネットを使いこなしていた知恵があるので、平均よりは優秀なくらいの人であったのだろう。

 

彼女は、インターネットのぬるいコミュニティにつかって人生を棒に振ったと嘆いているが、まさに、もしインターネットがなくて、ぬるく慰め合うオタクコミュニティに出会えず、型にはまったような人生を押し付けられていれば、やや幸せな人生を送れたのではないだろうか。だからこそ彼女は、自分は選択を間違えたと嘆いているのではないか。

 

IT革命以前は、人類の過半数は、型にはまったようなわかりやすい人生を、なんの疑いもなく歩んでいた。たとえば家父長制のような男とは女とは。たとえば地方で一生を終える平凡な人生。そういったものしか知らない、考えないからそれでよかった。

 

今、インターネットには無限の情報が転がっている。無限の情報というと有益なものに聞こえるかもしれないが、「強靭な意思」や「思考力」を持っていないと、乗りこなせないものなのだ。有象無象の情報のなかで、自分に口当たりのいい、ぬるい、ルサンチマンコミュニティに足を引っ張られると、「平凡な幸せを得るための最低限の努力」さえやらずに、平凡に腐り果ててしまうのだ。

 

そう、ルサンチマンコミュニティだ。昔はオタクというと、いっぱしの気合の入った存在だった。今のオタクはとてもぬるいものになった。現実に不満のあるルサンチマンのたまり場になってしまった。オタクに限らず、気合が入ってなくてもぬるま湯に浸れるコミュニティがネットにはいくらでもある。

 

インターネット以前、特別な才能や意思のない「中途半端な人達」は、「一般人」として、「型にはまった人生」を押し付けられ、それなりに幸せな人生しか知らなかった。

 

インターネットには、「中途半端な人たちの居場所」が無限にあった。そのぬるま湯に浸りながら、インターネットを通した膨大な情報、世界を俯瞰できる視野から目を背けて、人生を棒に振っていく彼らは”ネオルサンチマン”となっている。

 

IT革命によって、能力の格差が広がるだろう。中途半端な居場所に甘んじた人の中には、もし型にはめられていたら、傑出はできずとも、それなりのモノにはなった人もいたかもしれない。しかし、甘ったるいぬるま湯に足を引っ張られて落ちていく。逆に、天才的な能力や、確固たる意思を持つ、インターネットを使いこなせるごく一部の人間は、インターネット以前にはたどり着けなかった世界へたどり着く可能性がある。ガンダムのニュータイプのような奴らが現れることだろう。

 

将棋が本当に例にしやすいので将棋を例にすると、中途半端に強い、もし将棋に打ち込んでいればB級プロくらいまでならなれた人間(これでも相当すごい)は、ぬるいコミュニティに足を引っ張られて将棋に打ち込めなくなるかもしれない。しかし、藤井聡太や羽生善治といった天才的な才能を持つ人間は、ネットを使って過去の膨大な棋譜や、世界中の打ち手と将棋を指すことによって、前人未到の領域に至るかもしれない。

 

話がそれまくったので幸福論に話を戻すと、第二の知恵の実「インターネット」を得たことで、人類の欲望は一時的にでも満たされることがほぼ不可能になり、一般人は「自分の見える範囲での幸福を求める」ことさえ許されなくなった。ニーチェのいう「超人」しか、まともに生きていけない地獄がインターネット以後だ。一般人は「ネオルサンチマン」として群れをなし、実際に他者を害する能力(ネットにおける炎上等)さえも得てしまった。

 

知恵の実を食べて楽園から追放された人類は、第二の知恵の実を食べて現世からも追放され、ついに地獄に落とされたのだ。インターネットという無限の可能性を秘めた新技術によって今後人類は大きく衰退するだろう。そして、傑出した英雄が現れ人類を救うか、そのまま人類が滅びるか。悲観的なSFらしくて俺はそれを面白く思う。

 

インターネットについて考えるほど、インターネットこそ免許制にすべきだと思うね。18歳未満禁止にしろってわけじゃないし、国策に異を唱えるなってわけでもない。「平均的中学生程度の文章読解力」を示せば、小学生でも幼稚園児でも取れる免許制にしろって思うよ。