空白雑記

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マイ・ブロークン・マリコという底辺のおとぎ話とレオンの話

 

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)

  • 作者:平庫 ワカ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: Kindle版
 

 マイ・ブロークン・マリコ読みましたか?漫画読みなら読みましょう。話題ですからね。このマンガがすごいってなもんですよ。この記事は当然読んでる前提でネタバレだからな

 

このマンガ凄くリアルな底辺の漫画なのに、それをそうと感じさせないおとぎ話がうまいなって思った。84点

 

どういうところが底辺かって、説明するまでもないとおもうけど、アパート暮らしで娘を強姦する父親が底辺だっていう話じゃなくて。主人公のシイもマリコも底辺ですよ。

 

たとえばシイはクソみたいなブラック会社につとめてる。教師にばれないようにって芳香剤を持ち歩いてタバコをいつも吸ってる。教師はそれを見抜けないんだろうか?そんなことはない。節々で察して、こいつはもう駄目な腐ったミカンだと匙を投げただけだろう。だからちゃんと進路指導してもらえたかとか怪しいね。バキバキに割れた携帯を使ってるのは象徴的だ。

 

マリコも、ちょっと顔がいいのかな?でもリスカメンヘラビッチで自暴自棄で完全に底辺。シイちゃんのことを社会人は忙しいねって言ってたから定職にもつけない程度の能力しかないし、そう自分をみなしてる。まあ、そりゃ自殺するんじゃないかな。年を取るほど自分が詰んでることが実感できるだろうよ。きっかけはシイちゃんが遠くなって自分の人生に絶望したことだと思うけど、遺書でシイちゃんを気遣う意地はあったんだろうね。その意地がなかったら死んでやるって、死ぬ前に会いに来いって言っただろうし。

 

底辺って麻雀でいう跳満とか倍満みたいなもんなので。「頭が悪い」とか「股が緩い」だけだと底辺にならない。「頭が悪い」「教養がない」「向上心がない」「股が緩い」「生まれが悪い」みたいな。メンタンピンドラドラって感じが底辺。

 

底辺を一人救うには、12000点くらいかかる。ピンフだけの軽いつまずきの人間は同じ点数で12人救えるんだよね。だから底辺は救われない。

 

これは救いがない話。地方の田舎にいくとひったくりバイクがブインブインしてるってなかに、「ファンタジーとしての釣り人」が出てくる。あれだけは良心。だって良心がなかったら多分シイちゃんも死にたがってたし。

 

そんな救いがなくて、本人が落ち着いただけで何も解決してない。なんか良い感じに終わったし、骨を盗んだことは事件とかにはならなさそうだけど、またただの日常(ブラック会社、割れた携帯)に戻るだけだしな。最悪に綺麗なおとぎ話だなと思った。

 

それでいうと、俺はレオンも最悪のおとぎ話だなと思ってて。レオン見てない奴なんてまさかおらんよなあ?

レオン 完全版 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: Blu-ray
 

レオンは仲介役の男にマチルダのことを頼んで散る。あの男が頼まれたとおりマチルダによくしてやると思うだろうか?俺は思わない。レオンは仕事の報酬をすべてあの男に預けていて、それをマチルダに託したつもりだろうが、俺にはあの男は適当なことを言ってごまかして、レオンが死んだからこれ幸いと全額懐に入れるとしか思えない。

 

最後Shape of my heartが良い感じに流れて、マチルダのパンチラに目が釘付けになり、植木を植えて、全てどうでもよくなる良い感じに終わるけど、あの後身よりもないマチルダはどうなるんだろうか?俺はどうしてもそれを考えてしまう。マチルダは誰かが幸せにしてやらないといけないと思うが、映画が終わった時マチルダには誰も居ない。これは俺のメサイアコンプレックスなのかな。